経験学習とは

Experiential Learning(経験学習)なる David Kolb という人が 1984 年に提案した,人間の学習スタイルのモデルがある.

その提案をした論文の中に以下の一文がある.

“Learning is the process whereby knowledge is created through the transformation of experience” (Kolb, 1984, p. 38).

「学習とは経験の変形により知識が作られる過程のことである.」という感じであろうか. カッコいい一文であるが少し考えたら当たり前のことである気もする. 我々の多くが日常の様々なタイミングでいろんな新しいことを経験し,その過程で新しい学びも得ている.

自分の最近の学習としては,スムージー作りのことがある. アボカドとキウイの入ったドリンクをミキサーで作るのだが,この2つの果物は皮を剥く必要がある. 最初,初めてドリンクを作った時には,律儀にスプーンで丸っと綺麗に中身を時間をかけて取り出してそれを包丁で切っていた. が,何日か作っているうちに少しずつ皮の剥き方を変えていって今では最初の半分以下の時間で用意できるようになった. 小さなことだがこれもれっきとした「経験から学習した」事例である.

Kold さんはこの経験学習が以下の 4 つのステージから構成されると言っている.

  • concrete experience
  • reflective observation
  • abstract conceptualisation
  • active experimentation

なんとなく日本語にしてみると,

  • 経験
  • 反省
  • 抽象化
  • 実験

という感じだろうか.

経験学習と日記

自分は細々と新しいことをしてみて失敗することが多いし,ボーッとする時間もたくさんあってそこでぼんやり反省もしていたので割と経験学習を実は元から少しは実践していた気がする. 多くの人も「経験学習」という言葉は知らないにしても日常的にゆるく実践しているのではなかろうか. だが,この経験学習のフレームワークの話を聞いてから,よりそのプロセスを意識するようになった.

Kolb が提唱した 4 つのステージをみてみると,「反省」と「抽象化」が特に難しく感じる. というよりも,プロセスを意識していなかったら実践できないステップである. そうなると日々の経験から学ばないので,効率化は進まず,さらには同じ間違いを何度も繰り返すことになる.

さらに 2020 年はコロナの影響で外に出ることができず,日々の生活が平滑化されてしまい,今まで以上に自分の行動や経験に対して目を向けることが減ってしまった. そこで自分は日記を始めたのだがこれが日々の「振り返り」を行うのに非常に良いツールだった. 毎日書いているのだが,時間がある時は記録としての日記から一歩進んで,出来事に関しての自分の考えとか感想も書いているのだが,これが結果として「抽象化」になっていることもよくある.

日記を書くことによって日々のタスク処理が高度に効率化されていたり,同じ間違えは絶対にしない,とまでは言わないが,ない時に比べて少しずつではあるが自分の行動や思考をアップデートできている気がする. 必ずしも良い方向に変化しているかはわからないが,少なくとも前日したこと・考えたことを繰り返すのは減り,前日から積み上げることができるようになった. これは非常に達成感がある.

今ははてなブログnote.comみたいな簡単に綺麗なフォーマットでテキストを投稿できるプラットフォームがたくさんある素晴らしい時代なので,公開するしない関係なしに日記を書いてみることをお勧めしたい.


参考